花粉症の増加原因
花粉症の増加原因は、日本におけるスギの植林事情が影響しています。
日本では、昭和45年頃からスギ花粉症患者が徐々に増えはじめ、昭和50年代に入ると患者数は急激に増加しました。
戦後の復興のため、昭和30年代に拡大造林と呼ばれる林業政策によって、大平洋戦争で荒れた日本中の山にスギが植林されはじめました。
国の奨励でスギの植林が盛んに行われ人工林は急増、この植林されたスギが成長して花粉を産生する樹齢に達し、昭和50年代に一斉に花粉が飛散するようになったことが、スギ花粉症患者急増の原因だといわれています。
スギは植林後40年ほどで成木になり、花粉を飛散しはじめます。戦後に植えたスギが、いままさに花粉をまき散らしているのです。
現在植林されたスギの大半が樹齢30~40年となり、活発に花粉が飛散する時期を迎えています。
さらに近年は安い輸入木材に押され、日本のスギはすっかり人気が落ちてしまい、30年前には90%以上あった国内木材自給率は20%まで減少し、林業を取り巻く経済状況は悪化の一途を辿っています。
その結果、次々と林業にたずさわる貴重な人材が減り、人件費がかかる枝打ち・間伐などの手入れがなされないスギが増え、伸び放題となった枝には雄花が着花し、大量の花粉を巻き散らすようになったのです。そうです、花粉(花粉症)の増加は人災だといっても過言ではありません。
この状態をこのまま放っておけば、約50年間はまだスギ花粉は続くといわれています。
老木となり、それほど花粉を出さなくなるのに、それだけの時間がかかるのです。いま林野庁では樹齢30~40年のものから優先的に伐採していますが、思うように進んでいないのが現実です。
また1960年にはわずかだったヒノキ花粉も、木材として人気が高まったため、ヒノキの植林が進み、その後20年で3倍以上にも増えました。ヒノキ花粉はスギ花粉によく似た構造のため、スギ花粉に上積みされてアレルギー反応を起こしやすいのです。
国もこのような状況を問題視はしているようですが、農林水産省林野庁によると「予算不足の上、高齢化や後継者不足で林業従事者が減り、人工林の管理や手入れはなかなか進まない状況。その代わり花粉の少ない杉の開発などの対策は考えている」とのことですが、これらの効果が実感できるのは数十年後というのですから、気の遠くなる花粉症対策です。
しかし杉は何千年も前からあったのですから、杉だけが花粉症の増加原因とはいえないのも事実です。
車の排気ガス(ディーゼルエンジン)・工場などが原因の大気汚染。
ジャンクフード(ファーストフード)などの欧米化した食生活。
不規則な生活・ストレスの増加などによる生活環境の悪化など、戦前から環境が大きく変わったことも花粉症患者の増加原因ともいわれているのです。
花粉症は低開発国にはほとんど見られないことから、文明病といえるのかもしれませんね。
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